2022年春の天皇賞1着となったタイトルホルダーの次に、いや、タイトルホルダーよりも注目を集めた馬が1頭いました。ジョッキーを振り落とし、失格扱いのカラ馬となった馬がタイトルホルダーの次にゴール。その後混乱状態で走り続け、柵に激突。気絶し倒れたけれど自分で起き上がり歩き出した。綺麗な芦毛 8番人気
“シルヴァーソニック”
混乱しながらよろけながら走る姿にもの凄く胸が熱くなり、競馬初心者の僕にはそれだけで充分でした。なのでそのまま唄にして。
背負った期待は少なからず 決して多いとは言えないけれど
それでも振り払いたくなって ジョッキーもとろも振り落とした
〜省略〜
行け、カラ馬 走れ、カラ馬 何も背負わない
その姿が一番美しい
それから一年。ここ最近忙しさと少し体調を崩していたのもあり、あまり飲みにも行けずだったのでご無沙汰のDaysへ。「明日、天皇賞ですね」なんて言うとマスターのクリさん、隣りの常連さんから「あるよ」と競馬新聞を渡され「どれにする?」なんて言われるのでとりあえずザァーっと観ていると、競馬好きの知り合いから聞いた今回の注目馬ジャスティンパレスが1枠、去年の勝ち馬タイトルホルダーもいて「なるほどねぇ」なんて知ったような口ぶりをした直後
「シルヴァーソニックいるじゃないですかぁあ!!」
何を隠そうと実は”カラ馬”を書くようになったのは去年の9月にDaysで企画ライブがあり、競馬好きのお客さんが多いこの店で競馬の唄を唄いたいなぁと思い、競馬がわからないので勉強の為にとたまたま観たのが去年の天皇賞だったのです。
「はい、決まりました」迷い無し。
「おっ、早いね〜」なんて言われ渡されたメモ紙に
鈴木柊平
16(シルヴァーソニック)単勝¥1,000-
16-全 ワイド各¥100-
と記入し2,600円と共に馬券を買ってくれるお客さんに手渡しました。
やらしい話になりますが、カラ馬を一年間ライブで唄っていてCDがよく売れたのです。
CDを買っていただいた方からよく言われたのが「カラ馬、良かったです」なのです。
「ありがとうございます、でもカラ馬は音源に入っていないんですよ」と言うと
「そうなのかぁ、まぁでも他も良かったから買うよ!」なんて言って買ってくれるのでした。
なのでシルヴァーソニックには感謝しかなく、今回もお金を増やしたい訳でもなく、単純にお世話になった応援馬券として買ったのでした。
迎えた4月30日天皇賞当日、京都11レース。
ゆっくりとしっかりとした足取りで一番最後にゲートインしたシルヴァーソニック。
最終コーナーを曲がり最後の直線、注目馬ジャスティンパレスとディープボンドが1.2着争いをし、アナウンサーが
「ジャスティンパレス1着、2着はディープボンドです」と興奮気味で伝えたゴール前。
「外から来たきた、シルヴァーソニックが来た」
一番外から綺麗な銀色の馬体がレーン騎手と6番目の人気をしっかり背負って追い上げて来たのでした。
3着。込み上げる涙。
去年は一人で訳もわからずに笑われながら、邪魔だと言われながら、失格だった、それでも最後まで走り切ったシルヴァーソニックが今年は騎手と一緒に3着でした。
もちろん馬券も当たりましたがそれ以上に違う喜びの方が大きすぎました。
レース後、記事になり写真に写るシルヴァーソニックはどこか笑っているような、柔らかい表情をしています。
よくがんばったね。
日常で起こる何気ない喜びや悲しみ、自分の想いはしっかり唄で伝えていこうと強く思いました。
走ることで教えてくれた”シルヴァーソニック”のように。